アフガン相模空港

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パトレイバーとぼく

先日、めでたくパトレイバー4DXが劇場公開して、やった、パトレイバーって今でもファンが結構いるんだと安心したりした。その時の感想は別項に書いた。

aviationsagami.hatenablog.com

まああんまり中身のない記事だけど、嬉しかったってことでこの気持ちをわかってほしい。

 しかし、現在の「パトレイバー」コンテンツにおいてこれはゴールではなく中継地点でしかない。どういうことかというと、2017年に「パトレイバーEZY」というリブート企画が発表され、それが現在も進行中なのだ。これはアニメーター見本市で出た「パトレイバーREBOOT」とも別の企画で、発表当初は「いよいよパトレイバーが本格復活するのか!」と喜んでいたのだが、三年以上音沙汰がないとなると不安になってくる。

mech.hateblo.jp

 その辺の経緯に関してはこの記事が詳しい。どちらにせよ近年パトレイバー関連のグッズが新しく展開されているから、公式としてもまだあきらめているわけではないはずだと思うけれど、こうも時間がかかると「ジンライガー」のようにそのままお蔵入りになる可能性も出てきて非常に心配である。

 ‥‥で?

 あれ?なんかリブートとか新シリーズとか言ってるけれど、他に何かあったような…

 そう、実写版パトレイバー、「THE NEXT GENERATION パトレイバー」だ!

warucine-net.booth.pm

 先日、僕は同人誌で映画レビューする企画に参加する機会に恵まれたのだが、そこでも実写「TNGパトレイバー」について書いたくらい思い入れが深い。

 「評判が悪いけど好きな映画」というほど評判が悪くないのでは、と言う疑問も書いてみた後色々な方とお話しする中で浮かんできたが、どうにもマイナーない本作をこの機会に手にとって欲しいな、と言う気持ちがあった。「TNGパトレイバー」を高評価してる人ごめんなさいね。

 それで、話は遡ること2013年。実写版パトレイバー製作の知らせを聞いたアフガン青年は、思わず小躍りした。ちょうどそのころ、何気なく手に取った劇場版1をきっかけに、パトレイバーにドはまりしていたからだ。

 制作発表された2013年の初め、当時はあの「パシフィック・リム」も公開前で、実写ロボットアクションといえばせいぜい「ガンヘッド」「ロボジョックス鉄人28号」 くらいのものだった。そんな中でロボットアニメの実写化という前代未聞の企画が始動したことは驚くべきニュースだった。

 今思えばその発表の直前に、漫画版の作者で共同原作者の一人であるゆうきまさみが「実写版なんてそんな話は聞いていない」みたいに否定するニュースもあったりして、本作の立場の微妙さ、押井守が旧メンバーから独断専行で企画を立てたといううさん臭さもその時から漂っていたのだが… まあとにかくアフガン青年は今ハマってる作品の映像化これから始まると聞いて何もせずにはいられなかった。

 具体的に何かというと、エキストラに応募した。まだケツの青いガキだったので大人の役は回ってこなかったが、自分の出られそうな枠にどんどん応募して、4~5回は出演したと思う。エキストラは無給で、弁当と記念グッズ(クリアファイルとか)くらいしかもらえなかったが、それが逆に応募すれば呼んでもらえるという具合で都合は良かった。 

 ちなみに一回弁当が地元の中華料理屋の仕出だったことがあるのだが、めちゃくちゃまずかった。パトレイバー本編にも僻地にあるマズい中華料理屋が出てきたので、そこまで原作に寄せるのか、と感心した。嘘。勘弁してくれよと思った。クリスマスにロケした時もあってその時はADのおじさんがミネストローネを入れてくれたし弁当には骨付きチキンが入ってた。

 群衆の役があれば電車で二時間以上かけて現場に向かったし、カッパの役…河童の役が本当にあったんだよ!!!…があれば小田原の海岸まで向かい、特殊メイクをされて10月の糞冷たい海の中に入った。とにかく出られることがあればどんどん出たのだった。更衣室がなくてロケバスで一人で着替えてたら女の人のADが入ってきたこともあった。恥ずかしかった。

 エキストラで行った現場では、パトレイバーの実物大プロップが見られる撮影もあり度肝を抜かれたし、勿論本編に出演しているキャストにも会った。当時は今ほど有名ではなかった真野恵里菜は、生で見てもとってもかわいかった。筧利夫はそのまんまだった。

 さらに僕が出たいと言っていたら父母も乗っかってきて、母はOL役、父は熱海の警察署のおっさん役で出演したらしい。2013年は家族そろってパトレイバーだった。

 2014年には撮影も終了し本編が劇場公開された。家族も自分が出ていると知っているから糞高い全7章分の前売り券を買って、親子で毎月映画館に通った。

 今思うと、パトレイバーの実写ドラマを見るために毎月映画館へ行くなど、なんてばかばかしい日々だっただろうか。完成したものを見てみると、確かに「パトレイバー」はしていたが、往年のシリーズで繰り広げられた冒険を思うといくらかスケールダウンした内容に感じられた。押井守によるセルフパロディ小説「番狂わせ」の設定が下敷きにされていて、どうにも本編の忠実な実写化である以上に、旧作のパロディの色も強い作品だった。押井守流に旧作へ真摯に向き合った結果があれだったのかもしれないが…

 それでも、どこかのシーンに自分が出てるかもしれない、それにあの大好きなパトレイバーの実写化なのだからと毎回楽しみにして劇場に足を運んだのだった。DVDも片っ端から購入した。

 全話を映画館のスクリーンで鑑賞して、なかなかに楽しめたと記憶しているが、少し物足りないエピソードも散見された。エキストラで出ていたから、前売り券も買っていたから毎回視聴のモチベーションもあったが、それなしでは恐らく「まあこんなもんでいいかな」といいたくなる回もあったりして…(特にカッパな)

 ちなみに前売り券は全7章分が一枚になっているのだが、B3のポスターくらいの大きさがあって、めちゃくちゃかさばった。だから必要な部分だけ切り離して持っていったら「それは半券だけの扱いになるので無効です」と言われた。

これが「パトレイバー」1万1,000円の前売り券!イングラムがデザイン ...

これを毎回映画館にもってけちゅうんかい!!!バーカバーカ!!!最初はクソ真面目にトートバッグに入れて行っていたが、途中からは理不尽に感じたので映画館の人に掛け合って、途中からは切り取った奴だけ持ってくるので良いことになった。

 そして2015年には劇場映画「パトレイバー首都決戦」が公開され、実写版パトレイバープロジェクトは完結した。正直、劇場版に関してはまさしく賛否が分かれるクオリティだったかなあ、と考えている。パトレイバーというのは特車二課で起きる、しょうもないドタバタが魅力の一つであるから、シリーズにおける「ショボ」さやドラマ変調の作風はマッチしていた。けれど「首都決戦」はあの大作「パトレイバー2 the movie」の続きを標榜してるから、どうしてもトーンダウンが気になってしまったりするのだよな…

 首都決戦を中心にシリーズをレビューすれば、また評価も違ってくるのかもしれないが、とにかくそこが残念だったりした。

 そんな具合だから、やや消化不良な感じはあったものの、実写版パトレイバーはそれなりに僕に満足感を与えて完結したのだった。

 ところがどっこい、翌年2016年にはアニメーター見本市で設定を一新した短編アニメ「パトレイバーREBOOT」が発表された。一応実写版もアニメシリーズの続編という設定になっていたのだが、ゆうきまさみに否定されたように、企画そのものは押井守が勝手に動かしていたような色も強かったのである。かくして、TNGパトレイバーは「なかったこと」にされた。

 ちょっと実写版の出来が渋くて、そのあとさらにリブートされたからと言って「なかったこと」にするってのは言い過ぎだろとも思うのだけれど、実際公式も実写版の情報を今後発信するつもりはないように見える。

 昨年くらいかにマルイで開催された「パトレイバー展」では実写版の展示は一切なく、漫画版とアニメ版の展示しかなかった。アニメ版の設定に準拠した実物大のプロップは展示されていたのに、実写版のプロップは展示されていなかったのだ。トホホ~。辛うじて実写版のクリアファイルが売店で販売されていたが、アニメ版のクリアファイルの半分の値段で売られていた。投げ売りか?

 そういうわけで本稿はパトレイバーのコンテンツに関して僕が経験したことを取り留めもなくつづる感じのやつでした。色々説明不足な感じあったので手直ししたりしたけど…

 今回、この記事を書いたらそれなりに反響があって、パトレイバーの持つコンテンツ力に安心したりした。だから今後パトレイバーというコンテンツが再び花開く可能性はまだ十分あると思っているが、実写版はもう「昔そんなこともあったな」程度になってしまうのではないか、という恐れはいまだに持ち続けている。まあ、それでも僕は実写版の記憶を語り継いでいきたいと思う。