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今最も不謹慎な映画

 新型ウイルスの影響で、私たちは感染予防のため、自宅待機や衛生管理などの不便を強いられている。一方で、この状況だからこそというべきか、感染症ものや、ポスト・アポカリプスもののフィクションが人気を博している。

 僕のの記憶では、3月上旬にはすでにカミュの「ペスト」がamazonでベストセラーになり、売り切れていたはずだ。SNSでも感染症パニック映画やポストアポカリプス映画を楽しむ人々を見かける。いやまあ、そういう人は普段からゾンビ映画見てたりするんだけど…

 さて、アポカリプスというのは黙示という意味で、こういった場合終末であるとか最後の審判を指す。そういう意味では現在は「ポスト・アポカリプス」よりも、現在進行形で文明が滅ぼうとしている「アポカリプス・ナウ」に近い。まさに地獄の黙示録、なーんて。

 アポカリプスもの、ウィキペディアの記事に倣うなら「終末もの」は、それこそ旧約聖書ノアの箱舟の時代からあった話だ。「終末もの」とひとくくりにしても世界が危機に見舞われるのは天変地異や、核戦争、あるいは感染症の流行など取る形は様々だ。そして、実際に世界が滅んでいく光景を描いた作品もあれば、滅んだ後の世界でも力強く生きる人々(=ポスト・アポカリプス)を描くものもある。あるいは、手痛い損害を被りながらも最悪の事態から免れるパターンもあるだろう。それも終末ものといっていいと思う。

 さて、今現在の状況がいずれ「終末」に至るとは考えてないし、信じたくもない。だがまあ、フィクションで現実を極端にカリカチュアしたものを鑑賞して楽しむ上では、世界が滅んでいくのを見るのは楽しい。そんなわけで、今のご時世にあった「終末もの」あるいは「パニックもの」についてお話ししたい。

 

 https://www.cinematoday.jp/news/N0115661

 AbemaTVで、今日から大友克洋監督のアニメ作品が無料配信されるのだが、その中に「memories」というオムニバス作品がある。その中の一本「最臭兵器」は、今のご時世には非常に際どい内容となっているので、ぜひこの機会に鑑賞してほしい。

「最臭兵器」のあらすじは、極めてバカバカしい。風邪を引いた製薬会社勤務の主人公が、解熱剤と間違えて、新型の薬品のサンプルを飲んでしまう。その薬品の効果は、服用した者の体から、周囲の人間を昏倒させる特殊なガスを発生させる効果があったのだった。しかし、周りの人間がみな昏倒(死んでるようにしか見えないが…)しているにもかかわらず、あくまでそれに気づかない主人公は、電話で上司に命じられたまま、山梨の研究所から東京へ試薬のサンプルを輸送するのだった…

 この主人公が発するガスは、ガスマスクを付けていても他者を昏倒させる、あらゆる電子機器を故障させる、感情の起伏に合わせて分泌量が増加し、町ひとつを覆いつくし、挙句放電現象まで始まる、と非常に反則級の威力を持っており、まさかこんなものは現実に起こりえないと断言できる。だからフィクションと思って安心して鑑賞することができるだろう。

 しかし、ガスを発生させる主人公は、いくら本人の体調がなんともないとはいえ、周囲の人間が皆息絶え、機械がすべて狂っていくことに何の疑問も抱かずに東京に向かって進んでいく。勿論山梨から東京にかけては毒ガスで大パニックで、自衛隊は総力をかけて彼を殺そうとするが、彼の前には精密誘導された現代兵器は通用しない。こうした「思い込みの激しさ」もまたコメディだから笑えるところではあるのだが、現実に即して捉えてみるとどうだろう。

 新型ウイルスというのは、仮に感染しても、症状が重篤化しないままキャリアーとなってしまう例が非常に多いと言われている。その一方で、高齢者や喫煙者を始めとした、今回のウイルスに対しての抵抗力が低い人たちにとって、感染は文字通り死活問題だ。そうした現状を顧みると、自分が大丈夫だ、というだけで突き進む主人公は、非常に不気味でグロテスクな存在に見える。

 新型ウイルスに関しては「クラスター」という言葉が有名だろう。「クラスター対策班」により、高い感染率を持っていた集団が調査され、隔離して一定の成果を上げたことが大きかったのだろう。

 この例えるなら映画の主人公は「スーパースプレッダー」だろうか。SARS流行時には、罹患した医師がそれに気づかないまま移動を繰り返して感染が拡大したと言われている。また、古くは腸チフスの無症候性キャリアーであったメアリー・マローンもスーパースプレッダーとされる。

 彼らのように自らの感染に気付かないまま、他人を危機に陥れることは非常に愚かなことに思えるが、今の時代我々がそうならない保証はないのである。

 こうしてアニメで世の中を語ったつもりになるのは良くないし、そもそもこのアニメの本質は「バカバカしさ」であるとは思うが、それが本当にバカバカしいままで終わらないかもしれない世の中に少しの不安を抱くのだった。

 

 あー後、今のご時世「博士の異常な愛情」とかも現実とシンクロして感じられたけれど、あれは核戦争の話で、キチガイしか出てこない映画なので、これもまた「バカバカしい」だけの域を超えない。ただ、個人的には登場人物が全員バカだとシン・ゴジラもああなっていたのではないかと思っているので、こうして対策に行政が手をこまねいている今見ると、一層笑えるのは確かだ。

 

 

アニメで政治語ったつもりになるオタクになりつつあるので有罪です、もうこういうことはしないようにしますそれじゃ